“家系ラーメン化”する映画
少し前の話だけど、映画『七つの会議』を観た。
池井戸潤作品は『半沢直樹』(TBS) しか観たことがなかったのだが、予告編を観て面白そうだったので鑑賞。
ざっとあらすじを……
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中堅メーカー・東京建電の営業一課で万年係長の八角民夫は、いわゆる「ぐうたら社員」。トップセールスマンで、八角の年下である課長の坂戸からは、そのなまけぶりを叱責され、営業部長・北川誠が進める結果主義の方針の下、部員たちが必死で働く中、八角はひょうひょうとした毎日を送っていた。そんなある日、社内でパワハラ騒動が問題となり、坂戸に異動処分が下される。坂戸に代わって万年二番手に甘んじてきた原島が新しい課長として一課に着任するが、そこには想像を絶する秘密と闇が隠されていた。
まぁこのあらすじを読むだけでも、かなり“濃い”内容の映画だろうと察する。
ある程度の覚悟はして観たのだが、想像以上の“濃さ”。(笑)
演者の皆さん、“顔芸”が凄い。
特に鹿賀丈史が、まぁ濃い。野村萬斎も香川照之も、みんな濃い。
終始濃いまま終わるのだが、不思議なくらいちょうどいい。最初に感じる“濃さ”がクセになり、気付けばそれを欲している自分がいた。
「あれ? この感じはなんだろう……」
と思いながら劇場を出て近くの家系ラーメンの店に入り、その不思議な感覚の正体に気付いた。
映画から感じた“濃さ”は、家系ラーメンのそれと同じだったのだ。
家系ラーメンの店に入ったことのある方ならお分かりだろうが、注文の際に『お好みは?』と聞かれる。
麺の硬さ、味の濃さ、油の多さ。この3つの好みを伝えて注文するのだが、とにかく濃い味を欲する自分がいて、それを求めて家系ラーメンを食べに行く。
僕の好みは、
麺普通、味濃いめ、油少なめ……だ。
(味が濃くなってる時点で、油を少なくしても意味がない気もするが気にしないでほしい。)
とにかく一口目の“濃さ”が重要で、それを最後の一滴までキープさせること。これこそが家系ラーメンを欲している時の自分の心境であり、また定期的に食べたくなる。疲れているのだろうか?
ストレスが無いわけじゃないし、現状に対する不満だって無いわけじゃない。
でも、何か刺激が欲しくて辿り着いたのが家系ラーメンだったのではないか……と思う時がある。もはや普通の中華そばでは満足できなくなっている。どんなに美味い中華そばを食べたところで、一口目の“濃さ”で家系ラーメンには敵わないのだ。
……なんの話だったっけ?
あ、『7つの会議』だ。
要するに、映画やドラマは“家系ラーメン化”してるのかな? って話。
……そんな話だったっけ?